サカキ・バクザン。本名、齊(ハジム)。書家。
2010年10月3日、奔放な創作活動とひょうひょうとした生き方で「書道界の風雲児」とも呼ばれた書家の榊莫山さんが、急性心不全のため死去。84歳。
1926年2月1日、三重県生まれ。旧制中学時代に書と油絵を学び、京都大学文学部では美学を専攻。戦後、日本書芸院の創始者、辻本史邑(しゆう)と篆刻(てんこく)の梅舒適(ばいじょてき)に入門。50年から日本書芸院展の推薦一席を2年連続、51年から前衛書道の奎星(けいせい)会展の最高賞を3年連続して受賞。日本書芸院審査員などを務めたが、組織に束縛されることを嫌い全役職から退き、58年無所属となった。以後、個展活動に専念し、自作の詩による書と画をミックスした「詩・書・画一体」の世界を構築。92年には奈良・東大寺南大門の「阿形像」に四季の花の水彩画も添えた「平成の経典」を納めた。94年、焼酎「よかいち」のCMで一般にも知名度をひろげ、人なつこい笑顔やひょうひょうとした生き方で多くのファンを生んだ。著書に「野の書」、画文集「莫山歳時記」、エッセー「草庵に暮らす」など多数。