シンドウ・カネト。本名、新藤兼登。映画監督、脚本家。
2010年10月31日、第23回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが行われ、日本現役最高齢(受賞時点で98歳)の映画監督、新藤兼人の「一枚のハガキ」が審査員特別賞に選出された。
1912年4月22日、広島県生まれ。34年新興キネマ京都撮影所に入所。興亜映画を経て松竹大船撮影所脚本部員となったが、44年応召。第二次世界大戦後、松竹に戻り、マキノ正博(雅広)監督「待ちぼうけの女」、吉村公三郎監督「安城家の舞踏会」などで脚本家としての地位を固めた。50年吉村監督とともに松竹を退社し、独立プロダクション、近代映画協会を創立。51年「愛妻物語」で監督デビュー。以後「原爆の子」(52年)、「第五福竜丸」(59年)、モスクワ国際映画祭グランプリを獲得した「裸の島」(60年)、「ある映画監督の生涯・溝口健二の記録」(75年)など、多数の作品を監督。妻である女優、乙羽信子の遺作となった「午後の遺言状」(95年)で日本アカデミー賞最優秀監督賞、99年の「生きたい」では2度目のモスクワ国際映画祭グランプリを獲得した。描きたい主題を追求し続けるために次々と新しい道を開き、独立プロダクション運動全体をリードした。今回、審査員特別賞を受賞した「一枚のハガキ」は、新藤監督の実体験をもとにした反戦映画で、2011年夏に全国で公開予定。