トノムラ・アキラ。物理学者。
2012年5月2日、量子力学分野で長年真偽論争が続いていた「アハラノフ・ボーム(AB)効果」という現象を、電子顕微鏡技術を用いて確認し、ノーベル物理学賞に最も近いといわれていた外村彰さんが、すい臓がんのため死去。70歳。
1942年4月25日、兵庫県生まれ。65年東京大学理学部物理学科を卒業後、日立製作所中央研究所に入所。電子の波動性に着目し、78年に「電子線ホログラフィー顕微鏡」を開発した。86年には、59年にアハラノフとボームが提唱して以来、量子力学の世界でその真偽をめぐって論争が続いていた「AB効果」を確認。この業績でノーベル物理学賞の有力候補に名前が挙がっていた。99年にはアメリカのノーベル賞ともいわれる「ベンジャミン・フランクリン・メダル」を受賞。2002年文化功労者。09年からは政府が日本の最先端研究者30人に1500億円の研究費を支給する、最先端研究開発支援(FIRST)プログラムのメンバーにも選ばれ、「原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡の開発とその応用」プロジェクトの中心研究者を務めていた。