カツラ・ブンシ。本名、長谷川多持(たもつ)。落語家。
3月12日、元上方落語協会長の五代目桂文枝さんが、肺がんのため死去。74歳。
1930年、大阪市生まれ。47年、大阪市交通局時代の同僚の紹介で、踊りの名手でもあった四代目桂文枝に入門。上方落語界の分裂騒ぎで、五代目笑福亭松鶴の預かり弟子となった。歌舞伎の鳴り物の修行をしたり、結核で2年間の闘病生活を送るなどの苦労を重ね、54年に三代目小文枝を襲名。故六代目松鶴、三代目桂米朝、三代目桂春団治と並んで“上方落語界の四天王”と呼ばれるようになった。92年、大名跡の文枝を襲名。84年から94年まで上方落語協会の会長を務めた。“ハメモノ”と呼ばれる音曲入り噺の第一人者で、上品で華やかなはんなりとした女性の描写にも定評があった。得意の演目に「立ち切れ線香」「船弁慶」など。弟子として桂三枝、桂きん枝、桂文珍ら多くの人気落語家を育てるなど、後進の育成にも力を注いだ。著書に自伝「あんけら荘夜話」などがある。