キシダ・キョウコ。女優。
2006年12月17日、舞台を中心に映画やテレビでも多彩な活躍をみせた女優の岸田今日子さんが脳腫瘍(しゅよう)による呼吸不全のため死去。76歳。
1930年、東京生まれ。作家の岸田國士の二女。自由学園高等科を卒業した49年に文学座附属演劇研究所に入り、翌年「キティ颱風」で初めて舞台に立った。52年、文学座で正式に女優としてデビュー。三島由紀夫演出の「サロメ」に主演するなど注目を集めた。63年、文学座を脱退して仲谷昇や芥川比呂志らと劇団「雲」を結成、75年には「雲」を解散して「演劇集団円」の創立に参加した。「マクベス」などの翻訳劇に出演する一方で、別役実、清水邦夫、太田省吾、つかこうへい、平田オリザなどの新作劇にも積極的に出演した。
映画への出演では、62年に「破戒」「秋刀魚の味」で毎日映画コンクール助演女優賞を受賞。64年に主演した「砂の女」はカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した。「傷だらけの天使」などテレビドラマでも活躍し、アニメ「ムーミン」のムーミン役やドラマ「大奥」のナレーションなど、声の出演も多かった。エッセイや童話など著書も多く、98年には「妄想の森」で日本エッセイストクラブ賞を受賞している。