ノダ・ヒデキ。劇作家、演出家、俳優。
2008年2月3日、第15回読売演劇大賞の受賞者が発表され、野田秀樹が演出・出演した「THE BEE」が大賞・最優秀作品賞に決まり、同時に最優秀演出家賞、最優秀男優賞にも選ばれて、読売演劇大賞史上初めて、一人で三部門を制覇した。
1955年、長崎県生まれ。76年、東京大学在学中に劇団「夢の遊眠社」を結成、自作「走れメルス」で注目を浴びる。連発する言葉遊びとスピード感あふれる奔放な舞台で人気を博し、83年、「野獣降臨(のけものきたりて)」で岸田國士戯曲賞を受賞。渡辺えり子(現・えり)らとともに小劇場演劇の旗手となる。86年、日生劇場において、大地真央主演のシェイクスピア「十二夜」を斬新に演出。92年に「夢の遊眠社」を解散し、文化庁在外研修員としてロンドンに1年間留学。帰国後に企画製作会社「NODA・MAP」を設立、劇作家、演出家、俳優として幅広く活躍する。主な作品に「キル」「赤鬼」「半神」「農業少女」「贋作・桜の森の満開の下」「オイル」など。2001年、中村勘九郎(現・勘三郎)との歌舞伎座公演「野田版 研辰の討たれ」では、歌舞伎界に新風を吹き込んだ。「THE BEE」は筒井康隆の短編小説「毟(むし)りあい」を基に、野田秀樹とイギリスのコリン・ティーバンが脚本を共同執筆。06年にイギリスで上演した英語の「ロンドンバージョン」と、07年に新たに制作した「日本バージョン」を、東京、三軒茶屋のシアタートラムで、異なる演出で2連続上演。野田はロンドン版では女性(監禁される妻役)を、日本版では男性(会社員役)を演じて「みじんも破綻(はたん)を見せない」と評価され、三賞受賞につながった。