ハセガワ・タツオ。技術者。
2008年4月29日、日本のマイカー時代を築いた初代「カローラ」の開発責任者を務めた長谷川龍雄さんが、老衰のため死去。92歳。
1916年、鳥取県生まれ。39年に東京帝国大学工学部航空学科を卒業後、立川飛行機に入社。第二次世界大戦中、アメリカの爆撃機「B29」を迎撃するための高高度防空戦闘機「キ94」の設計を担当した。戦後、GHQ(連合国軍総司令部)により日本の航空機製造・開発が禁止されたため、46年にトヨタ自動車工業(当時)に入社。開発主査として科学的な航空機の手法を導入し、61年発売の「パブリカ」、66年発売の初代「カローラ」などを開発、日本にマイカー時代をもたらした。78年には同社の専務取締役に就任、アメリカのデュポン社の上級顧問も務めた。また、70年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)が世界で出願した、空気抵抗の少ない翼型の特許が日本でも申請された際には、長谷川さんが42年に発表した論文が先例と認められ、申請が却下されたことでも知られる。