デービッド・ロンギ。David Russell Lange。政治家。元ニュージーランド首相。
8月13日、ニュージーランドに非核政策を導入したデービッド・ロンギ元首相が腎不全による合併症で死去。63歳。
1942年、オークランド近郊のテムズ生まれ。医師の親のもとに生まれ育つ。オタフフ大学を経てオークランド大学に入学。65年に同大学法学部を卒業した。弁護士を務めた後、77年に労働者階級の支持を受けて初当選。83年に労働党党首となり、84年から5年間にわたって首相を務め、大胆な経済改革を断行した。85年には、アメリカ海軍艦船が核兵器搭載の有無の通報を拒否したことを受けて、この艦船の入港を拒否。さらに原子力船や核兵器搭載可能な艦船などの寄港を禁ずる反核法案を提出。同法案は87年に可決され、ニュージーランドの核政策がアメリカや西欧諸国と一線を画していることを示した。この非核政策を受け、アメリカはニュージーランドとの間でANZUS条約(オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ相互安全保障条約)を凍結。また、ロンギ元首相は南太平洋で行われたフランスの核実験にも反対。85年に起きた、核実験に反対する国際環境保護団体グリーンピースの船、「虹の戦士」号がオークランド港でフランス情報機関に爆破された事件についても、フランス当局を厳しく批判した。国営企業の民営化にも着手したが、同政策に対する反発が強まり89年に首相を辞任。96年に政界を引退した後は糖尿病などに苦しみ、闘病生活を続けていた。