クリハラ・サダコ。詩人。
3月6日、「生ましめんかな」などの詩で反戦・反核を訴え続けた詩人、栗原貞子さんが老衰のため死去。92歳。
1913年、広島県生まれ。旧制高等女学校入学後、雑誌へ短歌の投稿を始め、卒業後18歳で無政府主義者の栗原唯一と結婚。「人間の尊厳」など、戦時中から反戦詩づくりに携わった。45年8月6日、爆心地から約4キロの自宅で被爆。46年3月、原爆の悲惨さを告発した最初の文芸同人誌「中国文化-原子爆弾特集号」を刊行。被爆直後に焼け残った旧広島貯金支局ビルの地下室で、重傷の助産師が赤ちゃんを取り上げた直後に死亡した話を題材にした「生ましめんかな」を同誌に発表した。さらに、占領軍による事後検閲を受けながらも、反戦詩を集めた初の詩集「黒い卵」を出版。60年には作家の正田篠枝らと「原水禁廣島母の会」を設立。その後も「私は広島を証言する」「核なき明日への祈りをこめて」などの詩集を次々と発表し、文学活動と社会運動の両面で反戦、平和、核廃絶を訴え続けた。