ムスティスラフ・ロストロポービチ。Mstislav Rostropovich。チェロ奏者。
2007年4月27日、世界的なチェロ奏者、指揮者で、旧ソ連時代の民主化運動家としても知られるムスティスラフ・ロストロポービチさんが死去。80歳。
1927年、旧ソ連アゼルバイジャン共和国のバクー生まれ。チェリストの父、ピアニストの母から音楽家の血を受け継ぎ、16歳でモスクワ音楽院に入学。チェロと作曲を学び、在学中から数々のコンクールで優勝し、注目を浴びた。55年、ソプラノ歌手ガリーナ・ヴィシネフスカヤと結婚。56年以降は国外でも精力的に演奏活動を行い、60年代後半からは指揮者としても活躍。しかし、反体制作家でノーベル文学賞受賞者のソルジェニーツィンを擁護し、人権や芸術表現をめぐり当局と対立。74年、妻と娘2人とともにフランスに亡命し、78年、ソ連の市民権を剥奪(はくだつ)された。その後、ゴルバチョフ政権下のペレストロイカ(改革政策)により、90年に市民権を回復、16年ぶりに祖国を訪れてコンサートを開いた。2007年になってからは、腸のがんで入退院を繰り返していたが、2月6日にプーチン大統領を訪問。3月27日には、クレムリンで催された80歳の誕生祝賀会に出席。生誕80年を記念した映画「ロストロポーヴィチ 人生の祭典」が、日本でも公開されたばかりだった。