マツシタ・リュウイチ。
6月17日、自伝的作品「豆腐屋の四季」や、ミニコミ誌「草の根通信」の発行などで知られるノンフィクション作家の松下竜一さんが、肺出血の出血性ショックのため死去。67歳。
1937年、大分県生まれ。家業の豆腐屋を継ぎ、その生活を短歌とともにつづったデビュー作「豆腐屋の四季」がベストセラーとなり、テレビドラマ化された。70年から著述に専念し、執筆活動の一方で地域の社会問題にも積極的にかかわった。73年には福岡県豊前市の火力発電所建設の差し止めを求め、「環境権」を掲げて提訴。85年に敗訴が確定したが、運動の機関誌「草の根通信」はその後も発行が続いていた。著書に大杉栄と伊藤野枝の四女・伊藤ルイの半生を追った「ルイズ-父に貰いし名は」、ダム建設反対闘争を題材にした「砦に拠る」、甲山事件を題材にした「記憶の闇」などのノンフィクションのほか、自らの生活をつづったエッセー「底ぬけビンボー暮らし」などがある。2003年に脳出血で倒れた後も、「草の根通信」は支援者らによって発行が続けられていた。