ジョージ・ケナン。George Frost Kennan。外交官。
3月17日、アメリカの元外交官で冷戦時代の「封じ込め政策」の考案などで知られ、当時の外交戦略に大きな影響を与えたジョージ・ケナンさんが死去。101歳。
1904年、アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。25年にプリンストン大学を卒業後、国務省入り。ジュネーブやバルト三国などヨーロッパ各地を転任し、47年には国務省に新設された政策企画部の初代部長に就任した。同年外交問題専門誌「フォーリン・アフェアーズ」の7月号に、「X」の匿名で論文「ソビエトの行動の源泉」を発表。「ソ連の拡張主義を封じ込める政策」を提唱した。駐在時にモスクワから送った、通称「長文電報」と呼ばれるソ連分析をもとに書かれたこの論文は、その後のアメリカの冷戦外交を方向付けた。48年には占領下の日本を訪問。日本の共産化を防ぐことがアジアでのソ連の影響力阻止に不可欠として、日本への経済援助や賠償見直しを提言。 GHQ(連合国総司令部)による日本の占領政策に大きな影響を与えた。国務省審議官や駐ソ連大使を歴任した後はプリンストン高等研究所で研究生活を続けた。56年にはその著作でピュリッツアー賞を受賞。晩年まで外交についての提言を続け、最近ではイラク戦争についても批判的な発言を行っていた。