ジャン・ボードリヤール。Jean Baudrillard。社会学者、思想家。
2007年3月6日、消費社会や情報社会への鋭い批評で知られた社会学者で思想家の、ジャン・ボードリヤールさんが死去。77歳。
1929年、フランス、マルヌ県ランス生まれ。ソルボンヌ大学でドイツ語を学び、ドイツ語教師や翻訳家の傍ら社会学の博士号を取得。消費社会の社会学的研究に記号論を取り入れ、記号論的な文化・社会論を展開。処女作「物の体系」(68年)や「消費社会の神話と構造」(70年)などで、人々はモノの価値や機能を消費するのではなく、ブランドや見てくれといった差異を追い求めて、記号を消費することになり、消費社会は記号の体系になるとした。80年代から90年代にかけて、ポストモダンの思想家の一人として、日本の多くの読者層にも迎えられた。2001年のアメリカ同時多発テロに際しては、「テロリズムの精神」「ツインタワーのためのレクイエム」などの、挑発的な表現が論議を呼んだ。他に「象徴交換と死」「シミュラークルとシミュレーション」「完全犯罪」などの著作があり、多くが翻訳されている。