イシイ・モモコ。児童文学作家。
2008年4月2日、創作童話「ノンちゃん雲に乗る」や、「クマのプーさん」「うさこちゃん」「ピーターラビット」シリーズなどの翻訳で知られる児童文学作家の石井桃子さんが、老衰のため死去。101歳。
1907年、埼玉県生まれ。日本女子大学文学部英文科卒。文藝春秋から新潮社に移り、山本有三編の「日本少国民文庫」の編集の後、犬養毅元首相の蔵書整理などを経験するうちに、A・A・ミルンの「クマのプーさん」と出会い、翻訳家を志し、40年に岩波書店から翻訳出版。そのほかの翻訳に「ピーターラビット」(ビアトリクス・ポター作)、「うさこちゃん」(ディック・ブルーナ作)といったシリーズや、「トム・ソーヤーの冒険」などがある。47年に刊行した創作童話「ノンちゃん雲に乗る」はベストセラーとなり、55年に映画化。一方、 50年からは岩波書店で「岩波少年文庫」「岩波の子どもの本」の企画編集を担当。東京・荻窪の自宅では「かつら文庫」を開設し、子ども文庫の普及に大きな影響を与え、児童文学の理論的な発展にも貢献した。94年には自伝的小説「幻の朱い実」を発表。96歳でミルンの自伝「今からでは遅すぎる」を翻訳するなど、最晩年まで旺盛な活動を続けた。