イノウエ・ヒサシ。本名、廈。劇作家、小説家。
2010年4月9日、小説「吉里吉里人」やNHKの連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」の台本など、笑いの中に社会批評を織り交ぜた戯曲や小説で知られる劇作家で作家の井上ひさしさんが、肺がんのため死去。75歳。
1934年11月16日、山形県生まれ。上智大学在学中から、浅草のストリップ劇場フランス座の文芸部兼進行係となり、台本を書きはじめた。64年放送開始のNHKの連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」では山元護久とともに台本を執筆、大ヒットとなった。69年戯曲「日本人のへそ」で劇作家デビュー。72年には「道元の冒険」で岸田國士戯曲賞、芸術選奨新人賞を受賞。小説の分野でも72年「手鎖心中」で直木賞を受賞するなど人気作家となり、81年の「吉里吉里人」では日本SF大賞、読売文学賞を受賞。84年には「こまつ座」を結成し、座付き作者として自作の「頭痛肩こり樋口一葉」「小林一茶」「人間合格」「シャンハイムーン」などを上演。台本が間に合わず公演が延期になることも話題となった。また、昭和庶民伝三部作、東京裁判を題材にした東京裁判三部作、広島の原爆を扱った「父と暮せば」など戦争責任問題を主題にした作品を数多く発表。作家の大江健三郎さんらとともに、護憲を訴える「九条の会」を設立するなど、市民運動にも力を入れた。他の作品に、小説「ブンとフン」「モッキンポット師の後始末」「腹鼓記」「不忠臣蔵」、戯曲「しみじみ日本・乃木大将」「紙屋町さくらホテル」「組曲虐殺」など。