イケベ・リョウ。俳優、エッセイスト。
2010年10月8日、第二次世界大戦後の映画界を代表する「青い山脈」などの映画に主演、のちにエッセイストとしても活躍した俳優の池部良さんが、敗血症のため死去。92歳。
1918年2月11日、東京生まれ。洋画家・漫画家の池部鈞(ひとし)の長男で、美術家の岡本太郎はいとこ。立教大学在学中に東宝撮影所のシナリオ研究生となり、41年、東宝映画文芸部に入社したが、その甘いマスクが島津保次郎監督の目にとまり、俳優に転身。同年7月の「闘魚」でデビューした。その後5年間軍隊生活を送り、46年6月に復員。49年の大ヒット映画「青い山脈」では31歳でヒロインの恋人の旧制高校生役をさわやかに演じ、“永遠の青年”などと呼ばれた。その後も「暁の脱走」(50年)、「恋人」(51年)や「若い人」(52年)で二枚目を演じたが、「現代人」(52年)で演技派へと脱皮。「早春」(56年)ではサラリーマンの悲哀を演じ、「昭和残侠伝」シリーズ(65~72年)では、高倉健演じる花田秀次郎と固い友情で結ばれる風間重吉が当たり役となり、東映任侠映画の全盛期を支えた。ドラマや舞台でも活躍する一方、エッセイストとしても知られ、91年に「そよ風ときにはつむじ風」で日本文芸大賞を受賞。亡くなる直前までタウン誌「銀座百点」でエッセーを連載していた。