オガワ・クニオ。作家。
2008年4月8日、静岡に在住して「或る聖書」などキリスト教をテーマとした作品で知られる、作家の小川国夫さんが、肺炎のため死去。80歳。
1927年、静岡県生まれ。東京大学文学部国文科中退。20歳で洗礼を受け、カトリックに入信。旧制静岡高校時代から小説を書き始め、東大在学中にパリに私費留学し、パリ大学などで学ぶかたわら、地中海沿岸をオートバイで旅をする。帰国後、その体験をまとめた「アポロンの島」を57年に自費出版。8年後、島尾敏雄に激賞され、これが文壇に華々しく登場するきっかけとなった。「内向の世代」の一人と目されることもあるが、世代的にも作風的にも異なる面を多く持つ。86年に「逸民」で川端康成文学賞、94年に「悲しみの港」で伊藤整文学賞。2005年、日本芸術院会員。他の作品に「試みの岸」「ハシッシ・ギャング」などがある。