ナカムラ・トラキチ。プロゴルファー。
2008年2月11日、戦後のゴルフブームの火付け役となり、指導者としても知られたプロゴルファーの中村寅吉さんが、老衰のため死去。92歳。
1915年、神奈川県生まれ。15歳の時にアルバイトでキャディーを始め、ゴルフと出合う。20歳でプロデビューしたが、第二次世界大戦中は横浜の海軍工廠に徴用された。終戦後は、GHQの将校を相手にレッスンをしながら練習を積んだ。158cmと小柄ながら、正確なパットで頭角を現すと、50年から関東オープンを4連覇。52年には、GHQ仕込みの英語を生かして、戦後初の海外遠征を行った。57年、第5回カナダカップ(現ワールドカップ)に出場。ゲーリー・プレーヤー、サム・スニードら、世界のトップ選手が参加したこの国別対抗戦で、個人、団体とも優勝。国民的ヒーローとなり、ゴルフブームが巻き起こった。樋口久子らを育てるなど、後進の育成にも尽力。女子ゴルファーの地位確立にも努め、74年には日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)を創設して、初代会長を務めた。一般向けの指南書を多数執筆し、「トラさん」と親しまれた。通算成績は、日本オープン(3勝)、日本プロ(4勝)など通算37勝。81年には、国内公式戦で初となるエージシュートを65のスコアで達成している。