コバヤシ・マコト。物理学者。
マスカワ・トシヒデ。物理学者。
2007年7月6日、欧州物理学会は、小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授と益川敏英・京都産業大学教授の2人を、同学会の高エネルギー・素粒子物理学賞の07年の受賞者に選んだと発表。
小林誠は1944年、愛知県生まれ。名古屋大学理学部卒業後、京都大学理学部助手などを経て、高エネルギー加速器研究機構・同素粒子原子核研究所長。06年に退任。
益川敏英は1940年、愛知県生まれ。名古屋大学理学部卒業後、京都大学理学部助手などを経て、京大基礎物理学研究所教授、同所長。現在は京都産業大学教授。
ともに京大在任中の73年、「小林・益川理論」を提唱する論文を共同で発表。これは、ビッグバンによって同数の粒子(物質)と反粒子(反物質)が作られたはずの宇宙で、反物質がほとんど観測されない謎を解く鍵とされる現象「CP対称性の破れ」を説明するもの。当時、3種が確認されていたクォーク(素粒子の一つ)について、少なくともさらに3種が存在すると予想し、その混合の状態によって「CP対称性の破れ」が生じるとした。その後、74年にチャームクォーク、77年にボトムクォークの存在が明らかとなり、95年には6種目のトップクォークが発見。同理論が証明された。スタンフォード大学による高エネルギー物理学の文献データベースでは、同論文が引用数2位となるなど、「小林・益川理論」は素粒子物理学の標準理論となっている。79年の仁科記念賞、85年の学士院賞、アメリカ物理学会J.J.Sakurai賞ほか、受賞多数。