マツムラ・テイゾウ。作曲家。
2007年8月6日、遠藤周作原作のオペラ「沈黙」や、数々の映画音楽を手がけた作曲家で東京芸術大学名誉教授の松村禎三さんが、肺炎のため死去。78歳。
1929年、京都府生まれ。旧制三高在学中に和声法などを学び、池内友次郎に師事したが、結核で約5年間の療養所暮らしを余儀なくされた。療養所のオルガンで作曲した「序奏と協奏的アレグロ」で、55年の毎日音楽コンクール1位となり、伊福部昭に師事。本格的な創作活動に入った。69年「管弦楽のための前奏曲」で尾高賞を受賞するなど、自身がアジア的発想と呼んだ個性的な作品は、国際的にも高い評価を得た。93年には遠藤周作の小説「沈黙」を自ら台本も執筆し、13年がかりでオペラ化した。他の代表作に「交響曲」「交響曲第2番」「チェロ協奏曲」「アプサラスの庭」などがある。また映画音楽の分野でも、熊井啓監督の「地の群れ」「忍ぶ川」、黒木和雄監督の「竜馬暗殺」「祭りの準備」「父と暮せば」などを担当。舞台音楽などでも優れた仕事を残した。