ネギシ・エイイチ。化学者。
スズキ・アキラ。化学者。
2010年10月6日、スウェーデンの王立科学アカデミーは、2010年のノーベル化学賞を、「有機合成におけるパラジウム触媒を用いたクロスカップリング」で、有機化合物の合成技術の発展に貢献した、アメリカ、パデュー大学の根岸英一特別教授と、北海道大学の鈴木章名誉教授ら3人に授与すると発表。
根岸英一は1935年7月14日、旧満州国新京(現・中国吉林省長春)生まれ。58年東京大学を卒業後、帝人に入社。63年にアメリカ、ペンシルベニア大学で博士号取得。再び帝人を経て、66年から鈴木章の恩師でもあるアメリカ、パデュー大学のハーバート・ブラウン教授の指導のもと研究を続け、アメリカ、シラキュース大学を経て、79年からパデュー大学教授。99年から同特別教授。70年代に、アメリカ、デラウェア大学のリチャード・ヘック名誉教授が確立した、金属のパラジウムを触媒とする「ヘック反応」を基に開発された「クロスカップリング反応」を改善して「根岸カップリング」を開発。
鈴木章は1930年9月12日、北海道生まれ。北海道大学理学部では数学を学ぶつもりだったが、教養部の教科書だった有機化学の英文の本を読んで化学の道に進んだ。同学部助手を経て、61年工学部助教授。63年からアメリカ、パデュー大学のハーバート・ブラウン教授のもとに1年半の研究留学。79年にブラウン教授がノーベル化学賞を受賞した有機ホウ素化学に関する研究に従事。73年、北海道大学工学部教授。79年に、金属のパラジウムを触媒として、有機ホウ素化合物を使うことで炭素同士を効率よくつなげる画期的な合成法「鈴木カップリング」を発表。94年に北海道大学を定年退官後は、岡山理科大学教授、倉敷芸術科学大学教授などを歴任。2004年日本学士院賞を受賞。リチャード・ヘック、根岸英一とともにノーベル化学賞を受賞することとなった。
日本人のノーベル化学賞受賞は2年ぶりで、受賞者数は、医学・生理学賞1、物理学賞7、化学賞7、文学賞2、平和賞1の18人となった。