ワカクワ・ミドリ。美術史家。
2007年10月3日、美術などに表現された女性イメージの研究に取り組み、社会的性差をめぐる議論をリードした美術史家の若桑みどりさんが、急性心不全のため死去。71歳。
1935年、東京生まれ。東京藝術大学卒業後の62~64年にかけてイタリア政府給費留学生としてローマ大学に学んだ。帰国後、母校で教鞭をとり、同大言語音声トレーニングセンター長、千葉大学教養部教授、川村学園女子大学教授を歴任。イタリア美術を専門とし、ミケランジェロの作品や図像解釈学(イコノロジー)研究の第一人者。美術作品などにおける女性表現の問題に取り組み、ジェンダー(社会的性差)の論客としても活躍。2006年にはジェンダー文化研究所を開設して所長を務めた。「寓意と象徴の女性像」でサントリー学芸賞、「薔薇のイコノロジー」で芸術選奨文部大臣賞、「クアトロ・ラガッツィ――天正少年使節と世界帝国」で大佛次郎賞を受賞するなど多数の著書がある。