ライアル・ワトソン。Lyall Watson。動物学者、生命科学者、作家。
2008年6月25日、1960年代末から80年代にかけて、科学文明のあり方に疑問を投げかけて、一世を風靡したニューエイジ・サイエンス運動を代表する動物学者で、作家のライアル・ワトソンさんが死去。69歳。
1939年、南アフリカのヨハネスブルク生まれ。植物学、動物学、地質学、化学、海洋生物学、生態学、人類学、博物学、心理学などの学位のほか、ロンドン大学では動物行動学の博士号を取得。73年の著書「スーパーネイチュア」が世界的なベストセラーとなり、物理学者のフリッチョフ・カプラらとともに、ニューエイジ・サイエンス運動の旗手と呼ばれた。別の代表作「生命潮流」で、ある行動や考えなどがグループ内で一定のポテンシャルに達すると他のグループにも伝播する、と主張。その例として宮崎県の辛島のニホンザルのイモ洗い行動がある閾値(ここでは100匹としている)を超えると、遠く離れた群れにも爆発的に伝わるとした「100匹目のサル現象」という説を広めたが、後に創作と判明した。他の著作に「未知の贈りもの」「ロミオ・エラー」「ネオフィリア」「アースワークス」「シークレット・ライフ」などがある。一方、しばしば来日し熱烈な大相撲ファンとしても知られ、イギリスに相撲を紹介し、ロンドンの公演やテレビの実況中継では解説も務めた。