モリミ・トミヒコ。小説家。
ナガヤマ・ヤスオ。文芸評論家、歯科医。
2010年12月6日、日本SF作家クラブ主催の第31回日本SF大賞に、森見登美彦の「ペンギン・ハイウェイ」(角川書店)と、長山靖生の「日本SF精神史」(河出書房新社)が選ばれた。
森見登美彦は、1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。在学中の2003年、京都に暮らす大学生を主人公にした青春小説「太陽の塔」で「第15回日本ファンタジーノベル大賞」を受賞しデビュー。06年の「夜は短し歩けよ乙女」で第20回山本周五郎賞を受賞し、同作で直木賞候補にもなった。受賞作の「ペンギン・ハイウェイ」は、他の人気作のように主人公は大学生ではなく、小学4年生の男の子で、舞台も京都ではなく郊外の住宅地であることから、新境地であるとされている。他の著書にアニメ化された「四畳半神話大系」、「きつねのはなし」などがある。
長山靖生は、1962年10月30日、茨城県生まれ。親が科学小説と勘違いして買ってきたジュール ・ヴェルヌの「海底二万リーグ」でSF小説に出会ったという。大学時代に古典SF研究会に参加。後に会長も務め、同人誌「未来趣味」を発行。現在は郷里の日立市で歯科医院を開業する傍ら、古典SF、大衆小説の研究を続けている。受賞作は150年にも及ぶ日本のSF的思想の系譜を分析した意欲作で、2010年の星雲賞(ノンフィクション部門)も受賞している。著書に大衆文学研究賞を受賞した「偽史冒険世界」のほか、「殺人論」「犯罪文学研究」「コレクターシップ-『集める』ことの叡智と冒険」「人はなぜ歴史を偽造するのか」「外のオカルト、漱石の科学」「怪獣はなぜ日本を襲うのか?」「若者はなぜ『決められない』か」「天下の副将軍」「テロとユートピア」などがある。