ロペス・ロモング。Lopez Lomong。陸上選手。
2008年7月6日、アメリカのオレゴン州で行われた、陸上の北京オリンピック代表選考会を兼ねた全米選手権男子1500m決勝で、元スーダン難民のロペス・ロモングが3位に入り、悲願の北京オリンピック出場を決めた。
1985年、スーダン生まれ。内戦下の91年、わずか6歳で武装グループの兵士たちに連れ去られ、両親と生き別れる。兵士養成キャンプでは劣悪な環境のなかで強制労働を強いられた。生き延びるために年長の少年らと脱走。数日間荒野を走り続け、ケニア国境の難民キャンプにたどり着く。カクマ難民キャンプで10年もの間、食事は1日1回という厳しい生活を送る。2000年夏、シドニー・オリンピックのマイケル・ジョンソンの映像に心を奪われ、走ることを志す。16歳のときアメリカの難民受け入れプログラムに必死で夢を訴え、アメリカ行きが決まった。ニューヨーク州の里親に引き取られ、高校から陸上を始める。04年アリゾナ大学に入学。07年アメリカ国籍取得。今回の全米選手権1500m決勝では、優勝した世界王者のバーナード・ラガトがケニア生まれ、2位のレオネル・マンザノがメキシコ生まれと、北京オリンピック出場が決定した上位3人はすべて国外生まれが独占した。