ムタ・テイゾウ。俳優。
2009年1月8日、テレビのホームドラマ「ケンちゃん」シリーズに、お父さん役で出演してお茶の間に親しまれた、俳優の牟田悌三さんが虚血性心疾患で死去。80歳。
1928年、東京都生まれ。北海道大学農学部在学中の54年に、NHK札幌放送劇団入りしラジオドラマに出演。卒業後は、東京で劇団テアトル・エコーの創設に参加し、その後フリーとなり、舞台、映画、テレビ、ドラマで脇役として活躍した。70年代に入ると、TBS系で「チャコちゃん」シリーズを受けて始まった「ケンちゃん」シリーズの「すし屋のケンちゃん」(71年)で、お父さん役として初登場。以降、「ケンちゃん」(宮脇康之)と「お父さん」(牟田)の組み合わせが定着した。ドラマでは、豊かではないが堅気の家業を営む理想的な家庭を支える、こっけい味に富んだ優しい父親像を演じて人気を博し、お茶の間の顔となる代表作となった。俳優業以外でも、長男が中学生のときにPTA会長を務めたことが縁で、ボランティア活動・地域活動にも積極的に加わり、いじめ問題の解決のために子ども相談電話「チャイルドライン支援センター」の設立にも尽力して、その代表理事にも就任。さらに中央教育審議会専門委員(15~16期)、世田谷ボランティア協会の理事長なども歴任する一方、80年からラジオで「あなたのための税金相談」をあしかけ25年間続けた。2000年には、地道なボランティア活動が評価され、吉川英治文化賞を受賞(対象は「牟田悌三と世田谷ボランティア協会」)している。