シモムラ・オサム。化学者。
2008年10月8日、スウェーデン王立科学アカデミーが、発光するクラゲの体内から、緑色に光る蛍光たんぱく質(GFP)を世界で初めて発見し、精製することに成功した下村脩ボストン大学名誉教授ら3人に、08年のノーベル化学賞を授与すると発表。
1928年、京都府生まれ。長崎に疎開して終戦を迎え、51年長崎医科大学付属薬学専門部(現長崎大学薬学部)を卒業。55年に名古屋大学の研究生となり、ウミホタルの発光物質の結晶化に世界で初めて成功した。60年にアメリカ、プリンストン大学の研究員として留学。63年に名古屋大学助教授となったが再び渡米し、65年プリンストン大学上席研究員、82年から2001年までウッズホール海洋生物学研究所上席研究員を務め、ボストン大学の教壇に立つ。07年に朝日賞受章。1961年にオワンクラゲから、発光物質としてイクオリンというたんぱく質とGFP(green fluorescent protein)の抽出に成功、62年に発表した。70年代にその発光の仕組みを解明するまでに、採取したオワンクラゲは85万匹にものぼるという。90年代に入り、GFPは他のたんぱく質に目印をつける道具として応用され、医学や生物学の発展に大きく寄与しており、GFPを実際に細胞内に入れ、光らせることに成功したコロンビア大学のマーティン・チャルフィー教授と、その手法を発展させたカリフォルニア大学のロジャー・チェン教授が、共同受賞者となった。