カワキタ・ジロウ。文化人類学者。
2009年7月8日、ネパールでの学術探検などの他、企業や大学で広く導入された発想法「KJ法」の考案者としても知られる文化人類学者の川喜田二郎さんが、肺炎のため死去。89歳。
1920年、三重県生まれ。旧制第三高等学校(現、京都大学)で山岳部に所属し、日本の生態学の先駆者である今西錦司らの下で調査探検にかかわる。53年のマナスル登山隊への参加をきっかけに、ネパールのヒマラヤで現地調査を続け、ノンフィクション「鳥葬の国」「ネパール王国探検記」や、「素朴と文明」などの文明論を発表。東京工業大学、筑波大学などで教授を歴任する一方、日本ネパール協会の会長を務め、ネパールの山村の生活改善に尽力した。84年には、アジアのノーベル賞といわれるマグサイサイ賞を受賞。現地調査で得た膨大な情報をカードを利用してまとめる川喜田さんの整理術は、多様な情報からアイデアを発想する「KJ法」として広まり、企業などで活用された。