ノロドム・シアヌーク。Norodom Sihanouk。カンボジア前国王。
2012年10月15日、カンボジア国民から「国父」と慕われたノロドム・シアヌーク前国王が、療養先の中国・北京で死去。89歳。カンボジア政府は死因を「病気のため」と発表したが、直接の死因は心臓病とみられる。
1922年10月31日、カンボジアのプノンペン生まれ。1941年、国王に即位し、53年フランスからの完全独立を達成。国民の尊敬を集めた。55年にいったん退位して父に譲位。首相に就任したが、60年の父王死去後、王位を空席にしたまま国家元首に就任。70年ロン・ノル将軍らのクーデターにより中国に亡命し、カンボジア民族統一戦線を結成、カンボジアは内戦に突入した。75年、ポル・ポト派が実権を掌握すると再び国家元首に就任し帰国。しかし翌年には幽閉されて国家元首を辞任。79年、ベトナムの侵攻によるポル・ポト政権の倒壊で北京に脱出するが、82年、中国の後押しで親ベトナムのヘン・サムリン政権に対抗する3派連合政府の大統領に就任。91年紛争当事者4派によるカンボジア最高国民評議会(SNC)の議長に就任し、パリ和平協定に調印。93年再び王位に就いた。2004年に滞在先の北京で自らの退位を宣言し、息子のシハモニ殿下に譲位。その後はがんや糖尿病の治療のため、たびたび北京に長期滞在していた。