タニザワ・エイイチ。文芸評論家、エッセイスト。
2011年3月8日、保守派の論客で、辛口の評論でも知られた関西大学名誉教授で文芸評論家の谷沢永一さんが、心不全のため死去。81歳。
1929年6月27日、大阪府生まれ。関西大学在学中、作家の開高健や文芸評論家の向井敏らが参加した同人誌「えんぴつ」を主宰。書籍の成立や装丁などを研究する書誌学が専門で、68年から91年まで母校の教授を務め、定年まで9年を残して退任した。69年から読売新聞大阪本社版で連載した匿名の書評コラムをまとめた「完本 紙つぶて」で80年のサントリー学芸賞、「文豪たちの大喧嘩」で2003年度の読売文学賞、「紙つぶて 自作自注最終版」で06年に毎日書評賞を受賞。読売テレビ製作のバラエティー番組「おもしろサンデー」のコメンテーターとしても親しまれ、独自の人生論をまとめた「人間通」(1995年)はベストセラーにもなった。保守派の論客としての顔も持ち、社会事象に関しても辛口の評論を展開したほか、「うつの大ベテラン」として「うつ」との向き合い方を記したエッセーも多数残した。他の著書に「牙ある蟻」「回想 開高健」「『新しい歴史教科書』の絶版を勧告する」などがある。