2012年5月18日に政府の電力需給に関する検討会合(旧電力需給緊急対策本部)とエネルギー・環境会議が正式決定した、夏場の電力不足回避のための需給対策。11年に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故をきっかけに広がった原子力発電所(原発)の安全性への疑念から、定期検査後の再稼働ができず、5月には全国の原発が停止した。そのため、夏の電力需給の逼迫(ひっぱく)が予測される事態となったとして、政府は、4~5月に需給検証委員会で第三者の専門家等による今夏の需給見通しの検証を実施した。その上で、猛暑となった10年夏期の実績を基に、すべての原発が再稼働しないことを前提とした需給ギャップの見込みを計算、関西電力で、11年の東京電力で想定された以上の電力不足の恐れがあるほか、九州電力、北海道電力、四国電力でも需給逼迫が見込まれるとの見通しをまとめた。対策としては、供給面では関西電力、九州電力に中部電力、北陸電力、中国電力、四国電力が電力を融通するなどの対策を導入。需要面では、沖縄電力を除く電力会社すべてで、8月13日~15日を除く7月2日~9月28日の9~20時の間、数値目標をともなわない節電を要請する。さらに、7月2日~9月7日の期間については節電目標を、10年夏期ピーク時より、関西電力では15%以上、四国電力では7%以上、九州電力では10%以上、中部電力、北陸電力、中国電力は5%以上、北海道電力も7月23日~9月14日の期間、7%以上の数値目標を設定して節電を求めることになった。また、電力が逼迫する可能性がある場合、緊急の節電要請として「電力需給逼迫警報」を政府が発令するほか、万が一に備えて関西電力、九州電力、北海道電力、四国電力では計画停電の実施を準備する。なお、東京電力、東北電力は火力発電の増強などから供給に余力があり、節電の数値目標は見送られた。