微細な泥土が水平に固まった頁岩(けつがん、シェール)層に含まれる天然ガス。主成分はメタンで、プロパンなどの炭化水素のほか、ヘリウムなどの希ガス類を含むこともある。地中のガス成分を直接掘り出すLNG(液化天然ガス)などの在来型天然ガスに対して、シェールガスは硬い岩盤層にパイプを通して掘り出す非在来型天然ガスに分類される。世界で455兆立方メートルとされる埋蔵量の豊富さと、地域的な偏在の少なさで知られるが、高度な採掘技術が必要なため、シェールガス田の開発は見送られる傾向にあった。しかし近年、(1)環境負荷の少ない天然ガスの需要増、(2)在来型天然ガスの産出量の減少などから、非在来天然ガスへの注目が高まり、北アメリカを中心に非在来天然ガス田の開発・生産が本格化。2000年以降に採掘技術が向上したこともあり、アメリカでは2000年にほぼゼロだった非在来型天然ガスの産出量が、08年には国内の天然ガス産出量の約10%を占めた。シェールガスがその中心となっていることから「シェールガス革命」とも呼ばれている。需要の増加から上昇傾向にあった天然ガス価格の安定につながることも期待される。中国でも35年までに天然ガス産出量の62%をシェールガスが占めるとの予測があり、09年11月にはアメリカと中国の両首脳が、シェールガス開発の技術協力などを盛り込んだ共同声明「米中シェールガス資源イニシアティブ」を発表。09年12月には、日本企業初のシェールガス開発として、住友商事がアメリカのテキサス州の開発プロジェクトに参画することを発表した。