2009年2月17日にオバマ大統領が署名、成立した景気刺激を目的とした法律。正式にはアメリカ再生・再投資法(ARRA American Recovery and Reinvestment Act of 2009)とよばれる。景気対策の総額は7870億ドル(1ドル98円換算で約77兆円)、向こう2年間で350万人の雇用創出を最大の目標に掲げる。金額は08年の名目GDP(国内総生産)の5.5%にあたり、08年秋に金融危機が表面化して以降、世界各国が打ち出した単一の景気刺激策としては最大の規模となる。また、減税を柱としたブッシュ政権下の景気対策とは異なり、高速道路などのインフラ整備、大容量通信網の整備、環境分野向け投資などの歳出が約5000億ドル、勤労者向けの所得減税などの減税が約2870億ドルと、歳出が3分の2を占める。アメリカ製品の購入を義務づけるバイアメリカン条項は、保護主義の象徴として世界中から批判されたものの、一般の工業製品を対象に「国際的な協定の順守義務に違反しない方法で条項を適用する」との上院案に沿った形で残された。アメリカ大統領経済諮問委員会(CEA)は、この法律で、10年10~12月期で実質国内総生産を3.7%押し上げる効果があると試算している。