東日本大震災で住宅ローンを抱えたまま家屋を失うなど、いわゆる「二重ローン問題」に苦しむ被災者のための債務減免手続きのこと。対象は個人または個人事業主に限られる。自己破産など裁判所を通じた公的整理の場合は、信用情報が登録されて新たなローンが組めなくなる。そこで政府の方針に基づき、全国銀行協会や法律家などによる研究会が、2011年7月15日に「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を作成。それに基づき、第三者機関である「私的整理ガイドライン運営委員会」が、東京本部(東京都千代田区)のほか、青森(青森県青森市)、岩手(岩手県盛岡市)、宮城(宮城県仙台市)、福島(福島県福島市)、茨城(茨城県水戸市)の5支部で8月22日から申請の受付を始めた。被災者でローンなど借金があり、大震災の影響により返済できないか、近い将来確実に返済ができなくなると見込まれる人は、銀行など債権者と協議した上で、運営委員会に登録した弁護士や公認会計士など約530人の専門家に支援してもらい、弁済計画の作成や各種手続きを進めることができる。専門家の費用は国が負担し、債務免除にともなう銀行の損失にも、国による無税償却が認められる。申請から3カ月(条件によっては4カ月)以内に弁済計画を作成し、6カ月以内にすべての債権者から同意を得れば、債務の減免が認められる。しかし、一定の収入がある場合は支払いを求められる可能性があるなど、被災した債務者の要望にどこまで応えられるかは未知数とされる。政府は運用状況をみて見直しをはかっていく予定。