2012年10月8日に正式に発足した基金で、恒久的な金融安全網(セーフティーネット)として、財政難に陥ったユーロ圏諸国への融資など金融支援を実施し、金融危機の波及をくい止める防火壁の役割を果たす。所在地はルクセンブルク。欧州版国際通貨基金(欧州版IMF)ともよばれる。10年12月の欧州連合(EU)首脳会議で計画が決まり、当初は13年に設立が予定されていた。しかし、ギリシャ危機の深刻化やヨーロッパ諸国への危機拡大から、設立は1年前倒しの12年7月となったが、最大の資金拠出国であるドイツの批准が遅れたため、10月の発足となった。同様の組織に、10年に設立され、13年6月に期限を迎える時限組織欧州金融安定化基金(EFSF)があるが、ESMはその後継基金と位置づけられ、13年6月までは両者が併存し、7月以降はESMが機能を完全に引き継ぐ。ESMの資金規模は5000億ユーロ(約50兆円)、EFSFとの合計で最大7000億ユーロ(約70兆円)となる。この資金を基に、財政危機国への緊急融資や国債の買い取り、政府による銀行の公的支援などの資金のバックアップなどを行う。また、ユーロ圏の銀行を欧州中央銀行(ECB)が一括監督する銀行監督一元化が導入されれば、各国政府を経由しない個別銀行への直接資本注入も可能となる。