欧州連合(EU)の単一通貨、ユーロの価値の安定を目的に、1997年に締結された協定。ユーロ導入国(2007年1月時点で13カ国)の財政状況は、通貨ユーロの信頼性にかかわり、ユーロ圏全体に影響を及ぼすことから、協定では、各国に(1)単年度の財政赤字を実質国内総生産比3%以内、(2)政府債務残高を同60%以内、に抑制することを義務付けている。違反国には、EU経済財務相理事会による是正措置の勧告、警告が行われ、効果が認められない場合には、事実上の制裁金として、EUへの預託金の支払いが命じられる。協定違反が3年に及ぶと、預託金は没収される。07年5月、欧州委員会は、02年以降、協定違反が続いていたドイツに対する是正措置を解除することを、EU経済財務相理事会に勧告。06年の財政赤字を1.7%に抑え、改善されたことに伴うもので、ヨーロッパ経済の復調が背景にある。ただし、ユーロ圏のかじ取り役であるドイツなどへの制裁を避けるため、赤字から除外できる支出の項目を増加させるなど、05年に基準が緩和されており、欧州委員会はドイツに対し、さらなる赤字の縮小を求めている。