日本独自の車両規格。現行の規格は車体の全長3.40メートル以下、全幅1.48メートル以下、全高2.00メートル以下、エンジン排気量660シーシー以下と規定される。全長4.70メートル、全幅1.70メートル、全高2.00メートル、排気量2000シーシーの小型自動車と比べてかなりコンパクトとなっている。規格に制限がある半面、運用や税制面などでの利点も多い。小型自動車などと比較した軽自動車のメリットの第1は税制上の優遇措置があることで、自動車取得税、自動車重量税、自動車税(軽自動車の場合は軽自動車税)が安く、自動車損害賠償責任保険料も低い。また一般的傾向として新車価格が安く、燃費がよい、車体が小さくて取り回しがよい、駐車スペースを取らないなど、維持・運用面のメリットも大きい。全国軽自動車協会連合会によると、2011年3月末現在の保有台数は2707万台、世帯当たり普及台数は 100世帯に50.6台で、とくに地方を中心に広く普及している。軽自動車規格が初めて登場したのは1949年で、そのときの規格は全長2.80メートル、全幅1.00メートル、全高2.00メートル、排気量は4サイクルが150シーシー、2サイクルが100シーシーであった。車体は50年に全長3.00メートル、全幅1.30メートル 全高2.00メートルに拡大され、排気量は小幅な改定の後、55年に360シーシーに落ち着いた。その後、76年に排出ガス規制や安全性への対応を理由に規格が拡大され、全長3.20メートル、全幅1.40メートル、排気量550シーシーとなった。90年には全長3.30メートル、排気量660シーシーに改定、さらに98年に衝突安全対策のために車体サイズが現行規格に改められた。歴史的にみて、軽自動車は昭和30年代には小規模商工業者の道具として経済成長を支え、乗用車の普及期となった昭和40年代は入門車として、昭和50年代はセカンドカー需要を満たす存在として、日本のモータリゼーションの一翼を担ってきた。近年の話題としては、アメリカ自動車大手3社(ビッグスリー)で作るアメリカ自動車政策会議が、日本のTPP交渉参加にあたり、日本市場の3割を占めるスーパー・ミニカー(軽自動車)区分が、アメリカ車の輸出増加を阻む参入障壁であるとの認識を示し、廃止を要求して注目を集めた。これに対して、日本自動車工業会は「軽自動車が大型車中心のアメリカ車と競合関係にあるとは思えない」との見解を示している。