複数の人が共同で出資し、出資額にかかわらず平等な議決権や決定権を持ち、経営参加しながら働く労働形態。一般的に、労働とは雇用されて賃金を得ることだが、協同労働では雇用されずに働き、かつ経営にも参加、利益は出資額に応じて分配する。協同労働の事業母体は協同組合で、アメリカやヨーロッパ諸国では20世紀後半以降、協同労働の組合運動がさかんに行われ、法律が整備されている国が多い。代表的な成功例がスペインのモンドラゴン協同組合。36年からのスペイン内戦で荒廃したバスク地方の町モンドラゴンに赴任した神父ホセ・マリア・アリスメンディアリエタが43年に職業訓練学校を設立、協同労働の重要性を説いてまわったのがその始まりだといわれている。その職業訓練校を卒業した5人が共同で石油ストーブの生産協同組合を設立。アリスメンディアリエタ神父も協同組合金融機関「労働人民金庫」を設立したり、新たな協同組合の設立や経営指導に取り組み、2007年時点では金融、製造、販売、教育、研究の各分野で260の事業体を持つ世界最大の協同組合に成長している。日本では、協同組合の事業内容によって消費者生活協同組合法や農業協同組合法など個別の法律が定められているが、協同労働に関する法律はないため、複数存在する協同労働の事業母体は、法人格が持てない、融資を受けられないなど活動しにくい状況にある。長引く不況から、協同労働に対する注目度が高まっていることもあり、早急な法整備が期待されている。なお、09年末時点で、協同労働で働く人は全国で3万人いるといわれている。