著作権の一種で、著作権者が、テレビやラジオ、インターネットなどを通じて著作物を広める権利を、独占できるという権利。著作権法の第23条で規定されており、同条には「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」と明記されている。近年、ファイル共有ソフト、動画共有サイトなどを用いて、音楽、映画、ドラマ、ゲーム、漫画などのデータを、著作者の許諾を得ずにネット上に流した者が、逮捕される事件が相次いでいるが、これらは著作者の公衆送信権の侵害にあたる。実際にダウンロードが行われなくても、無断でダウンロードできる状態にする行為自体が送信可能化権の侵害となる。2011年1月18日、コンピューター関連企業の永野商店による「まねきTV」(ネット経由でテレビ番組を転送するサービス)が著作権を侵害しているとして、NHKと大手民放5社が差し止めや賠償を求めた訴訟で、最高裁判所が、二審までの「侵害に当たらない」とした判決を破棄し、「違法」との逆転判決を言い渡して注目を集めた。「まねきTV」は、テレビチューナーを内蔵するソニー製の映像転送機器「ロケーションフリー」を、利用者から有料で預かり、機器が受信したテレビ番組を利用者のパソコンなどに転送するサービスで、利用者は海外などでも日本のテレビ番組を視聴できる。永野商店側は機器を預かっているだけで、番組を転送しているのはあくまで利用者と主張していたが、最高裁は、まねきTVの仕組みでは機器に情報を入力する同社が送信の主体と判断。同社と契約すれば誰でも利用が可能であり、公衆送信権を侵害しているとした。