ロボットが植物の生育状況などを把握してこまめに管理することで、安定して高品質の野菜を効率よく収穫できるシステム。愛媛大学が、植物の温度や養分の供給量などを自動的に制御するシステムを開発し、それを農業機械メーカーの井関農機が、2011年を目標に事業化を進めているもの。これは、太陽光を利用した広さ1ha以上のガラス温室内で、自走ロボットに搭載したカメラとセンサーで収集した情報をデータセンターで集約し、過去の発育データと照合して、その植物に最も適合した生育状況を導き出すシステムである。たとえばトマトの場合、温度センサーが葉の温度を計測、その温度変化から水分の過不足を判断する一方、工場内の固定カメラで撮影した画像によって、葉の占有率から発育状況をチェックする。これらの情報をもとに、株数ごとの養分の供給量を調節することで、トマトの糖度は大幅に上がっている。この方式は、植物に現在の状態を直接尋ねるスピーキング・プラント・アプローチ(SPA speaking plant approach) の概念を取り込み、個々の植物の生育環境に合せて、きめ細かな温度・湿度の設定をするもので、これによって収穫量の大幅な増加も見込めるとしている。