輸出入、仲介貿易、海外投融資で生じる損失など、支払いが巨額で、通常の保険では救済できないリスクに対して補償する保険。相手国の国際紛争、内乱、自然災害や、相手方の破産、債務不履行、外貨事情の悪化による支払い停止などに適用される。日本の貿易保険制度は1950年に創設され、政府(旧通産省)が運営に当たってきたが、中央省庁改革の一環として、2001年に設立された独立行政法人日本貿易保険が扱い、国がその再保険を引き受ける形になった。また、金融工学の発達によるリスクヘッジの多様化を背景に、05年からは規制緩和による民間参入も認められた。貿易保険の種類には、貿易一般保険、貿易代金貸付保険、輸出手形保険、輸出保証保険、前払輸入保険、海外投資保険、海外事業資金貸付保険、限度額設定型貿易保険、知的財産等ライセンス保険、中小企業輸出代金保険などがある。08年8月、キューバ国立銀行から決済資金の不足で期日までの輸入代金が支払えないとの通告を受け、日本貿易保険は、貿易保険の適用を決めるとともに、キューバ向けの新規の保険引き受けを停止した。