総務相が認定した場合、複数の放送局を子会社にできる持ち株会社。2008年4月に施行された改正放送法で設立が可能となった。それまでは、放送メディアの寡占化防止と、表現の自由や言論の多様性を保つ意味から、マスメディア集中排除原則とよばれる規制が設けられ、特定の企業が複数の放送局を支配する、持ち株会社を禁止していた。認定放送持ち株会社はこの規制を緩和し、傘下企業のすべての保有資産のうち放送関係が半分を超える、特定株主の出資比率を議決権ベースで33%以下に制限する、などの条件を設けた上で、最大12の放送子会社を傘下に置くことができるようにした。制度の創設には、地上デジタル放送への移行に必要な多額の設備投資が、とくに財政基盤の弱い地方局の経営を圧迫するため、キー局を中心としたグループ化によって、地方局の経営支援と救済を図るねらいがあるとされる。また、キー局や地方局以外に、BS局、映画会社など、多様なメディアを抱えることも可能なため、欧米型の複合メディア企業が国内メディアから生まれることも期待されている。認定放送持ち株会社の第1号はフジテレビで、08年10月1日付で移行、また、9月11日にはTBSが09年4月に認定放送持ち株会社へ移行することを正式に発表した。