著名人が自分の名前や肖像から生まれる経済的利益を独占できる権利。法律に明記された権利ではなく、基本的人権の一つである人格権に由来する概念。アメリカで1953年以降、判例を通じて認められるようになった。日本では1970年代以降、芸能人やスポーツ選手の写真を無断使用した本やグッズの販売が横行するなか、地方裁判所や高等裁判所で賠償などを認める判決が続き、権利としても認められるようになった。最高裁判所は、2012年2月2日、パブリシティー権が法的権利であることを初めて明確に認めた。2人組の女性歌手ピンク・レディーの写真を無断掲載した週刊誌をめぐる訴訟において、最高裁は、「商品の販売などを促進する顧客吸引力を排他的に利用する権利をパブリシティー権という」と定義を明示。さらに具体的基準として、(1)グラビア写真、(2)キャラクター商品、(3)広告、の3類型への写真などの無断使用が権利侵害にあたると例示した。その上で最高裁は訴訟の判決として、当該の写真掲載はピンク・レディーの顧客吸引力の利用が目的ではなかったと判断し、ピンク・レディー側の賠償請求を退けた。