内閣府中央防災会議の作業部会・南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが2013年3月18日に発表した、南海トラフを震源とするマグニチュード9.1(M9.1)の巨大地震が起きた場合に想定される経済的な被害試算。12年8月に発表した、建物被害や人的被害を試算した第1次報告に続く第2次報告となる。今回の試算では、被害総額は最悪のケースで最大220兆3000億円に達するとの結果が示された。これは、国内総生産(GDP)の42%、東日本大震災の10倍超の規模を示す。被害額の内訳は、直接被害が169兆5000億円、このうち民間部門が148兆4000億円と大半を占める。間接被害は、企業の生産やサービス水準の低下の影響が、被災後1年間で44兆7000億円、うち、サプライチェーンの寸断などによる支障で2兆2000億円と試算された。これとは別に、交通網の寸断による影響も6兆1000億円にのぼる。経済的な被害試算とともに、インフラ、ライフラインの被害規模も発表された。被害地域は関東以西40都府県におよび、上水道は3440万人、下水道は3210万人が利用困難となる。また、都市ガスは180万戸で供給途絶し、固定電話は930万回線が通話不能となり、携帯電話もほぼ同じ区域で不通となる。示された被害想定額が巨額となったのは、東日本大震災を教訓に、想定外をなくす観点から、従来は「ありえない」としていた最大クラスの地震を設定したため。想定する巨大地震は過去に起きた証拠がなく、発生頻度も「1000年に1度、あるいはもっと低い」とワーキンググループでは説明している。また、被害想定額は、減災対策の実施で、直接被害は半減でき、間接被害も3割減にできるとしている。