ある国で特許が可能と判断されたものを、別の国でもその審査情報を共有することで、簡易な手続きで早期に審査が受けられるようにする制度。企業活動のグローバル化にともない特許権を複数の国で取得する動きが強まるなかで、出願人の早期の権利化を容易にし、また、当局の審査期間の短縮や負担の軽減を図る制度として作られた。日本は2006年7月に、世界で初めて、アメリカとの試行プログラムを開始し、その後、韓国、イギリス、ドイツ、ロシア、デンマーク、フィンランド、オーストリアとPPHを拡大している。この8カ国で世界の特許出願の約64%を占める。また、09年7月には東南アジアでは初めてとなるシンガポールとの間でPPHが開始された。なお、シンガポールは東南アジア諸国連合(ASEAN)のうち、ミャンマーを除く9カ国と、ASEAN特許審査協力プログラム(ASPEC)とよばれるPPHを進めていることから、日本とシンガポールがつながることで、ASEAN域内での日本の特許取得が迅速化されると期待されている。