企業の自家発電設備でつくられた余剰電力をいう。大量の電力を消費する企業には自家発電設備を設置しているところが多く、余剰電力は日本卸電力取引所などの市場で売買することが認められている。東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、定期点検で停止している原発を再稼働することが難しく、電力不足が生じる懸念から「埋蔵電力」に関心が集まり始めた。2011年7月6日の衆議院予算委員会で、野党から埋蔵電力の活用について質問された菅直人首相は、「埋蔵電力は魅力的な言葉」と答弁。7月13日の首相官邸での記者会見では、電力不足の懸念については「節電や自家発電の活用で十分対応できる」との見通しを示し、埋蔵電力を活用する考えを示唆した。また、7月19日の閣議では、埋蔵電力の推計値が7月4日時点で約160万キロワットであるとの答弁書を決定した。全国にある企業の自家発電設備の出力は、合計で5000万キロワットを超えるとされる(11年3月現在)が、それらは自社工場などで大半が消費されており、実際に埋蔵電力を活用できるかどうかは判然としない。