スマートフォンなどのモバイル端末で視聴できる携帯端末向けマルチメディア放送のサービス名。2012年4月にサービスの開始を予定している。映像以外にも、雑誌やコミック、ゲーム、音楽などさまざまなデジタルコンテンツを送信し、同時にインターネットでソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を利用することも可能になる。11年7月24日に東北地方の一部を除きアナログ放送が停波(終了)、これにより空いた周波数帯の207.5~222MHz(メガヘルツ)を利用する。地上デジタル放送の規格であるISDB-T方式から派生したISDB-Tmm方式を採用し、リアルタイムで放送を視聴するだけでなく、欲しいコンテンツをダウンロードして端末に蓄積できる蓄積型放送も可能になる。蓄積型放送でコンテンツが自動的に端末に保存されるサービスはシフトタイム・コンテンツと呼ばれ、たとえば、リアルタイムでドラマを見ながら主題歌の音楽データを同時にダウンロードするといった使い方ができる。また、リアルタイム型放送と蓄積型放送で使用する帯域幅を固定せず、双方で柔軟に増減が可能なのも大きな特徴の1つになっている。これによって、視聴者が急増しそうな放送には帯域を増やしたり、深夜などにはリアルタイムの放送の帯域を減らすといった運用ができる。送信は、モバキャスが設置するセンター局から全国の送信所まで衛星回線を利用するので、災害時でも回線が混雑してつながらないといった輻輳(ふくそう)が起きにくい、被災した地域に臨時送信所をすぐに構築できるというメリットもある。なお、携帯端末向けマルチメディア放送の帯域を割り当てられた事業者は、NTTドコモの子会社の株式会社mmbi(前:株式会社マルチメディア放送)。2011年7月末現在、「モバキャス」は商標登録出願中。