2010年11月13~14日に開催された第18回アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が採択した首脳宣言のこと。APECの将来像を加盟国の共同体と位置づけ、共通の成長戦略の実行と経済統合構想の実現をめざしたもので、APECとしては初めてとなる成長戦略が盛り込まれた。宣言は「これまでのAPECの歩み」「現下の好機と課題」「APECの将来」「結び」などから構成され、そのおもな内容は以下の通り。まず、「歩み」では、アジア太平洋地域は世界経済の原動力、成長のエンジンとなり、加盟国はボゴール目標に向けて顕著な進展を遂げたと評価、自由で開かれた貿易・投資の達成を再確認した。「好機と課題」では、アジア太平洋地域の経済は金融危機から回復しつつあるが不確実性も残るとの現状認識を示し、需要を均衡させ、健全な財政運営を追求し、より強固な世界金融システムを構築すべきとした。また、WTO(世界貿易機関)の多角的貿易交渉の迅速な妥結に強く関与すべき点、保護主義抑止のため、新たな輸出規制実施などの保護主義的措置を取らないとの08年の確約を、13年末まで延長する点で合意した。「APECの将来」では、より質の高い成長と安全・安心な経済環境を実現する共同体を構想し、「緊密な共同体」「強い共同体」「安全な共同体」の三つの側面から共同体の方向性を提示した。その道筋として、20年のボゴール目標達成に向けて地域経済の統合をさらに推進し、APECはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の追求に貢献することや、APEC成長戦略を発表してこれを着実に実施すること、食料の安全保障やテロへの対策を進めることなどをあげた。「結び」では、今後は地域経済統合を強化・深化させ、質が高く、持続可能な成長を確保する作業を急ぐ、とした。