NECが展開する、デジタルサイネージ・サービスの一形態。デジタルサイネージ(digital signage)とは、街頭や駅、公共施設など、大勢の人が集まり行き交う場所に、ネットワークと接続したディスプレーを設置し、随時さまざまな画像や映像を映し出して、その場にいる人々を視聴者化して情報を伝える手段をいう。同社では、これに長年研究を続けてきた顔認識や視認効果測定の技術を付加したシステムを考案し、小規模な実験的設置を試みてきており、低コスト化や数千台のディスプレーに情報配信することを想定した本格的なサービス提供の開始を、2009年7月1日に発表した。顔認識技術は、昨今のデジタルカメラやビデオムービーにも搭載されている技術で、レンズを通して入ってきた画像の中から、人の顔に現れる顕著な特徴、たとえば目や鼻や口の位置関係やそこにできる影などを指標として、顔を優先的にフォーカスするもの。また、ここでいう視認効果測定は、顔認識でとらえた情報から、男女の骨格の差や皮膚に現れる加齢要素などをもとに、その人の性別や年齢などを判別し、一方で、その人とディスプレーとの距離や、足を止めた時間などから表示内容への興味の度合いを推測し、具体的にどのような人が何人見たのかを把握する技術をさす。本来、デジタルサイネージが効果を発揮するためには、視聴者の性別や年齢、その場所柄に合わせて表示内容を絞り込む必要がある。そのため、これらの技術で視聴者の属性を推定して、興味を示しそうな情報や広告を表示する機能は、有意な効果を期待できる。また、同社では、天気や気温といった、人の心身や動向が直接影響を受ける要素や環境条件をも連携させた、新たな統合システムへの発展も視野に入れているという。