アメリカ政府が実施する、2008年からの金融危機の根本的な解決をねらった、金融機関の不良資産買い取り策のこと。09年2月にガイトナー財務長官が構想を発表し、3月23日にその詳細が公表された。不良資産購入のためのファンドを政府と民間投資家が共同で複数設立して、不良資産を買い取ることを基本的な枠組みとし、民間の出資額に応じて、財務省が金融安定化法の公的資金枠から最大1000億ドルを資本として拠出するほか、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)とアメリカ連邦預金保険公社(FDIC)も融資や保証を提供する。計画は延滞住宅ローンなどの不良債権向けと、市場で買い手が付かない証券化商品向けに分かれ、不良債権向けは、金融機関の売却希望を受けてFDICが入札を実施することで、市場メカニズムによる適正な買い取り価格の形成を期待する。また、FDICは官民出資額の6倍まで民間出資額の債務を保証し、証券化商品向けでは、証券化商品を担保にFRBが低利融資するなど、民間資金を活用するための負担軽減措置が盛り込まれていることも特色となっている。政府は、PPIPで5000億~1兆ドル規模の不良資産を金融機関の帳簿から切り離すとしている。なお、この計画が、過去に北欧などで不良債権を金融機関から切り離す目的で設立された「バッドバンク」と機能的に近いことから、日本の報道では、「バッドバンク」構想とも呼ばれている。